指先がジリジリと痛んだ。
目の前を歩く子供が二人。ピンク頭と眼鏡。荷物を抱えて笑いあう。子供って元気だね。子供は風の子っていうけどさ。どちらかと言うとあいつらは太陽の子だ。顔見てはいえないけど、あいつらは知らないけど。照れくさいからな。でもお日さんだ。
俺?俺は・・・なんだろうなぁ。
秋になり、誕生日なんて忘れかけていた記念日を終えると、もう冬へのカウントダウン。残り二ヶ月で今年も終わるのかと思うと、年々早くなる。ベンどころか、そのうちチーターに喰われそうだ。
一人でいた頃は、それも悪くないなぁなんて思っていた。秋から冬。冬から春へ移ろいで行く。年々早くなるそれをまったりと暮らす。俺らしいよな。でも、今はあんまり好きじゃない。もっとゆっくりでもいいじゃねぇなんて俺らしくないだろう。でももっとゆっくりになればいいよ。
俺の布団。俺の枕。俺の服、俺のソファ、俺の部屋、俺の家。コタツだって俺のコタツだ。なのに今ではそれも三分の一だ。ちょっと前まえでは全部独り占めしてたのに。今から三人でそこに帰る。
去年の冬。コタツの中で足を伸ばすことも出来ずに、全員で蹴り合いの攻防をした。神楽の奴、相変わらず手加減が下手で、天板が浮いて、もう少しで上に置かれた鍋がひっくり返るところだった。
今まで、全部独り占めで、それが良かった。こいつ等が出て行けば、また独り占めできるんだろう。それもそんなに先の話じゃないだろうな。神楽も新八もいづれココを出て行く。だから。でも。
年々早くなっていく一年のスピード。
俺のスピード。
なぁもっとゆっくりで良くない?みんなピンク頭も眼鏡ももっとゆっくりで良くない?ゆっくりゆっくりでいいじゃん。
もっとゆっくり待ってくれない?
俺が笑ってお前らを見送ってやれるまで。
ひゅるりと吹く北風。
あぁ、きっと俺がもうすぐ来るな。
あの真っ白で冷たい奴。
お前らが一番高いところまで昇ったら
俺は綺麗に消えちまう。
弱い銀さん。というか銀さんの吐露が書きたかっただけ。
アニメのベンが来る発言は中々好き。
新八と神楽が太陽ならば、銀さんは雪。冷やっこい雪で、新八と神楽に溶かされればいいんじゃね?
一番遠くに離れたら、ドロドロに泣いちゃえばいいんだと思う。

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