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日記兼二次小説スペースです。 あと、時々読んだ本や歌の感想などなど。 初めての方は、カテゴリーの”初めての人へ”をお読みください。
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典型的なB型人間。
会社では何故かA型と言われますが、私生活では完全なB型と言われます。
熱中すると語りたくなってしょうがない。
関西在住、性格も大阪人より。
TVに突っ込みを入れるのは止めたい今日この頃。
趣味は邦楽を愛する。お気に入り喫茶店開拓
一人が好きな割りに、時折凄く寂しがりやです。
字書き歴7年近く。
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第6夜です。
もう、はっきり言って、私のこれでもかという妄想とかがぶち込まれている。
まぁいつものことと言えばそれまでか。
それも残る1話・・・ではないんです。
実は、御題7にいたっては、候補が二つあって・・・。
一応どちらも書きあがっているのですが、片方は、私の妄想というかオリジナル設定というか、本誌のその後でこんなパターンが希望というのが入っている。
しかも時生Verとミーコちゃんverの2パターンを考えていて、ミーコちゃんのしか書けてないし。
もう片方は、設定ではないですが、勝手に作った術式があったり、何よりエグくはないけど、時生傷だらけ状態と。

どっちもろくでもないじゃないかと・・・・。

一応どちらもアップは予定していますが・・・なんか我ながら頭が痛いなぁ。

それと、上手く言えば、今晩か、明日には、御題とは別のお話も書きたいなぁと。
タイムリー過ぎて・・・イロイロと。
エヘっvvv


























6 幸せとは気付くものですか それとも築くものですか


まるで、当たり前のように問われて、どう答えようかと迷った。沈黙を隠すように、庭の池の鯉がパシャリと音を立てて跳ねた。一瞬の迷いは、彼女が気にするのでは、という躊躇いだった。でも嘘を言ってもどうしようもないと思って、僕はそのまま答えるしかなかった。

「もう、無いんです。」

「へっ?」

「だから、アルバムが、もう無いんですよ。
 一つも。
 時人兄さんの一件があってから、僕が自分で焼いたんです。」

そう言えば、ミーコさんも全てを察してくれたらしくて、言葉を噤んだ。大まかなことは彼女も知っているからだろう。まずいことを聞いたという顔をしている。正直な人だ。それをそ知らぬふりをして、僕は先を歩く。彼女が気遣うことではない。
僕にとっては、あの一件は、そういうものだった。このことが、人に知られるのが嫌だとか、そういう風に思ったことは無い。過去は変らない。でも彼女が気にすることではないから、隠したりもしないけれど、腫れ物のように触れられるのも困る。
それがわかってもらいたくて、その頭をポンポンと撫でる。

「気にしないでください。
 僕にとっては、けじめみたいなものですから。」

「けじめ?」

「えぇ。
 今は、ここも式神が多いですが、昔はそうでもなかったんです。
 使用人とか血縁の者も一緒に住んでましたし、従兄弟とか遠い親戚とか。
 それこそ大家族みたいにね。
 でも、あの一件でみんな居なくなった。」

我が家の庭は広い。歩くだけでもちょっとした散歩になる。表の玄関から裏庭に抜けて、幾つもの建物が渡り廊下で繋がる寺院だ。それでも昔は少し手狭だなと思ったこともあった。その棟のそれぞれに家族や使用人らが分かれて暮らしていた。門弟もいた。家族同然だった。それがあの一件でみんないなくなった。その喪失を埋めるように、今は式神と徳田とハクタクとで暮らしている。

「もう皆いなくなったんです。
 変えようがないし、戻っては来れない。
 例え兄さんを討っても、それは変らない。
 父さんも母さんも一族の皆も。
 そしてあの頃の兄さんも、けして戻っては来ないんですから。
 だから焼いたんです。
 それを見て、懐かしんだりはしないように。」

かさかさと足元の草が揺れた。池の石組の上に立つと、昔の面影が頭によぎる。
ここで遊んで足を滑らせて、兄さんに笑われた。あの木には従姉妹が木登りを練習していた。境内の広場には、門弟が修練をして活気のある声を上げて、父さんの怒声が鳴り響いていた。母さんが台所で食事の支度をしていた。その全てが戻っては来ない。
振り返ると、ミーコさんが苦しげな顔をしていた。そんな顔をさせたくはなかったけれど。こればかりは仕方がない。でも見ていられなくて顔を背けた。もう戻らない。変らないのだから。

「だから、すみません。
 昔の僕は見せてあげられないんです。」

本当のことを言えば、アルバムを焼いても記憶は消えない。でもあの頃を、あの頃の兄さんを思い出そうとすればするほど、覚悟が迷いそうだった。それほどに幼かった。だから焼き捨てた。それでいいと思った。
それでも時々思い出す。焼いた火の色。焦げた匂い。黒くしわくちゃになっていく思い出。徳田の悲しそうな目。ハクタクの寂しそうな声。もう誰もあんな顔をさせたくない。誰も壊させない。これ以上。そのために焼いた。でもこんなことを話して、ミーコさんにも悲しい思いをさせてしまっただろう。
だが、そう思ってミーコさんを見ると、その目は何かの決意に燃えているような色をしていた。キッと僕を見据えている。

「ちょっとそこ立っててや。
 じっとしてるんやで。」

「えっ、はい。」

突然のミーコさんの命令に、僕は、石組の上で直立不動。何をするのかと見ていると、ミーコさんは、制服のポケットから、携帯を取り出して、こちらに構える。

「あの・・・。」

「じっとしてる。」

「はい。」

そして、鯉の跳ねる音に似た機械音が響いて、彼女が何をしたのかを察する。傍に寄ってくる彼女の携帯には、思ったとおり。硬い表情をした僕がいた。それにしても綺麗に撮れているものだなぁと関心する。こういう機械物にはとくに疎いから。
でも、どうして今?

「ないんやったら、うちが作ったるか。」

「ミーコさん?」

「作ったるよ、アルバム。
 昔のがないのは惜しいけど、しゃあないし。
 これを、貼る第一号の写真にするで。
 それから細見とかハクタクさんとか、みちるさんとも、うちが撮ったるよ。
 月見とか花火とか、いっぱい楽しいこともしたらええやん。」

頬に触れてくる手の暖かさ。心臓がドクリと音を立てる。
彼女が今、案じてくれているのは、僕のことだけ。志村の家や守護家としてのことなんて、きっと何も考えてはいない。でも、それが無性に嬉しかった。
さっきとは逆に、今度はミーコさんが僕の頭をポンポンと撫でてくれた。小さな子供を褒めて許すように。

「いいんやで、志村。
 失くして壊れたら、新しいのを作っていいんや。」

思わず抱きしめた。何も考えずに手が伸びて、強く抱きしめる。何も考えられない。ずっと離したくない。加減も何も効かない。子供が泣くみたいに、縋るように、ただ抱きしめる。言うべき言葉なら幾らでもあるはずなのに、言葉が出ない。言葉にならない。
それでもミーコさんは、全てを察してくれたように、僕の背中をゆっくりと撫でてくれた。

「頑張ったんやな。
 えらいな、志村は。」

咽喉の奥が燃えるように熱い。息が苦しい。その奥に詰っている、言葉と涙が。
もしかすると焼き捨てたのは、写真でも思い出ではなく、あの頃の自分だったのかもしれない。大事な家族を守ることが出来なかった幼い自分。何を疑うこともなく、兄を慕っていた頃の自分。兄の堕ちていくのを止められなかった自分。そして、そんな兄でさえ、いなくなったことを惜しむ自分。
でも、ミーコさんが新しく、作ってくれる。思い出と写真。そして新しい居場所を。
闘える。そのためなら。例え妖魔でも、慕った兄であっても。闘って、そして帰ってくることができる。ここに。彼女のいる場所に帰ってくる。

「ありがとうござます。」

「どういたしまして。」

闘おう。守るために。新しい思い出をずっと、もっと、作っていきたいから。この人とならばそれが出来る。腕の中の小さな人と。


END

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あとがき
今回のは、言葉遊びをしながら、イロイロとテーマを探ってみました。
結構やるんですけどね。

まぁ見事なまでに、オリジナルの設定が・・・。
見ている人があきれていなければいいなぁ。
他家をみると、結構皆さん大所帯みたいなんで、時生の家の寺、結構でかそうだし、一族で住んでたんじゃなかろうかと。
でも居なくなっちゃったから、それじゃさびしいだろうと、ハクタクさんが式神でいっぱいにしてみたとか。
だって、あのお屋敷の広さで人間は時生と徳田さんだけだし、不必要なでは?ってほど人が多いからさ。
従姉妹とか叔父とか叔母とか当然おじいちゃんとかとも同居してたとか。
寺だし門弟も居て、結構活気があったのに、兄ちゃんの一件で全て居なくなったとか、寂しすぎるし。
ついでに兄ちゃんを慕っていたって・・・どこにそんな記述があったよ、私。(ないですよ、本当に)
勝手なことを書いてますが、でも時生のあの兄ちゃんを討つという割には、なんだか憎いんでいるという雰囲気が無かったので。
実は兄ちゃんっ子だったのではないかと。
だって、写真の時人兄ちゃんは優しそうな印象があるし。
兄ちゃんの一件で時生が腑抜けたって、言うのもそれなら納得とか、時生が人と関わりたくないのは、兄ちゃんみたいに裏切られるのがいやだからとか。
妙に繋がるし・・・ダメだろうか。

しっかしうちの時生は、ミーコちゃんに甘ったれだ。
なかなかしゃきっとしないよぉ・・・。
yuiさん / 2007/09/24(Mon) /
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