少しだけバッスルの膨らんだプリンセスライン。淡いピンクの生地を飾るのは、小さな紅い薔薇とその薔薇と同じ色のリボン。普段は降ろしている薄茶色の髪も、今日ばかりは高く結えられてそこにも花とリボンが飾る。そのドレスを選んだのはフェスだ。あまり公の場には出ないまどかの為にと、態々仕立て屋を呼ばせた力の入れようだ。
「ねぇ、変じゃない?
おかしくなぃ?」
フェスの腕を支えに立つまどかは、横に立つフェスを見上げる。出会った頃と比べるともう随分と身長に差が出来てしまった。長身の両親の血を引くフェスは成長と共にグングンと背を伸ばし、そのたびに丸かった頬が細くなった。そうすると少年らしかったフェスは、ずっと精悍な男へと容貌を変えてしまった。だが、どれほど大人の男となろうと、いやだからこそまどかの言葉には甘い表情を覗かせる。
不安気に何度も聞いてくるまどかに、フェスも又何度も同じ言葉を返した。
「変じゃないし、可笑しくも無いって言ってるだろう。
俺の見立てが信じられねぇか?」
「そ・・・そんなことはないけど。
でも、おかしくない?
男の子っぽくない?」
可愛らしいピンクのドレスがこれ以上ないほど似合っているフェスの恋人は、それでもやはり聞いてくるのだ。元少年、それも人間という魔界では珍しい経歴を持っているまどかは、未だに心の奥底では自分を男だと思っている節がある。
しかし本人にこそ言ったことは無いが、少年の状態でも、まるで少女と見紛うばかりの華奢さがあったまどかだ。それが完全に女性となってしまえば、元が少年だということの方が疑わしい。
「心配すんな。
どっからどう見ても、俺の可愛い婚約者にしか見えねぇよ。」
そう言って、フェスはまどかの額に、ソッと唇を寄せた。離れた瞬間に柔らかく笑うフェスはどこを見ても精錬なものだというのに。その表情のどこかに婀娜っぽさが見えて、まどかは思わず頬を薄紅に染めた。もう何年と恋人をしてきても、未だにまどかはこういう初な仕草が抜けない。そんなところも愛しく思うフェスにとっては楽しいばかりだ。
魔界の第三ヒエラルキーを統治するアスモデウス。その宮城の廊下は、汚れ一つ無い真紅の絨毯が敷かれている。そしてそのあちらこちらでは、これから始まるパーティに招待された魔族が居るのだ。そんな公衆の面前でだと言うのに、フェスの甘やかな姿勢は、家で二人きりで過ごすときとまったく変わりがない。
出会ったばかりの頃のフェスは、どちらかと言えばぶっきら棒だった。それが年月とは驚く程フェスを変えた。今ではまどかの方が、戸惑うほどに睦言を口にする。それは何度聞いてもまどかには慣れない。どうしてそんなに変ってしまったのかと、一度だけ聞いたことがある。それは初めてまどかがフェスの物となった夜に。すると真っ暗な夜の中でまどかを抱き寄せ、フェスは言った。
”もう言いたいことを我慢するのは、こりごりだ”と。
その一言には、長く別たれていた時間や、まどかが忘れてしまった記憶。何より再会してからも、まどかを傍に置くことを拒み続けたフェスの思いがこめられていた。どれほどフェスに深い爪痕を残しているのかをまどかは改めて思い知った。
だからこそ、まどかには”恥ずかしいので止めてくれ”とは言えずにいるのだが。
「メフィストフェレス家。
メフィスト=フェレス=ファースト様。
フィアンセ、マドカ=ヴェアトリエル様。」
呼ばれた名に、まどかの肩が緊張にビクリと跳ねた。あまり出席することの無い公の場に、まどかは未だに慣れない。不安にまどかは顔を上げると、フェスが腕差し出した。
「行くぞ。」
それでも、その腕に手を絡ませて湧き上がるのは、優しさと安堵だ。
「うん。」
ゆっくりとまどかの歩幅にあわせて、二人は一歩一歩、歩き出した。
謁見を済ませ、宴が始まれば誰彼とも無く談笑が流れ、盛り付けられた料理に舌鼓。キラキラと輝くシャンデリアの下で軽やかな音楽が流れれば、美しいステップが磨かれた床を滑る。それをぼんやりと眺めながら、壁傍にあるソファに座り、まどかは、小さくため息をついた。
「まどかも踊ればいいのに。」
まどかの隣に座ってそうぼやいたセドに、まどかは苦笑いを返した。ホールの中央では、フェスは、まどかが名も知らぬ名家の淑女を相手に、綺麗なステップでターンを返していた。ぴったりと息の合ったワルツ。
「ダンス、苦手だから。」
そういうと、セドは気にすること無いのにとぼやきながら、その手に持っていたローストチキンにかぶりついた。おそらくフェスも同じことを言うだろうことは、まどかにも分かっていた。だがどうしてもその言葉に甘える気にはなれない。恥をかくのが自分だけであれば、まどかも気にはしないだろう。だが現実はそうではないのだ。
ダンスが苦手なことは嘘ではなかった。何度と無くフェスに相手をしてもらいながら、練習をしてきたが、両手では足りないほどフェスの足を踏んでしまったのだ。そうなると益々まどかは練習にさえ消極的になった。しかも今日はドレスに合わせて高いヒールを履いている。同じように踏んでしまっては、申し訳ない。しかしそれだけがまどか戸惑わせているわけではない。
ダンスの相手一つ務まらない娘を婚約者にしているなどと、フェスが笑われてしまうのではないか。そう思うと、差し出された手を拒むしかなかった。そして自分以外の女性と綺麗に踊るフェスを眺めるしか出来ない。
その時、ふと視線を感じた。まどかがそちらを見れば、二人の淑女がこちらを見ている。孔雀の羽の扇で優雅に口元を隠しているが、何を囁いているのかは揶揄を含んだ視線が物語っている。居た堪れず顔を背けた。
フェスの貴族の地位は、男爵だ。いずれは父から家督を受け継ぎ、その地位に付く。男爵という地位は、魔族としては立派な貴族の一員であるが、身分としてけして高いわけではない。どちらかと言えば、末席になる。だがその血は紛れも無く純粋な魔族。そして何よりこの第三ヒエラルキーを統べる王の血を色濃く受け継いでいるのだ。そのアンバランスさが、貴族の中でも注目される所以でもある。
血は力でもある。そして力こそが、魔界では全て。
まどかはフェスの伯母からそう教わっていた。血の濃さは、その先天的な力に比例する。セドが父の力を強く受け継いでいるように、フェスは母方の血を、それもアスモデウスの力を強く受け継いでいる。
その瞳と同色の稲妻は、紛れも無くアスモデウスの力。そして今のフェスは、それだけではない。まどかが自らの意志でフェスに自身を捧げたことで、この魔界さえも統べることが出来る九天の扉がフェスの物となった。フェスが一度願えば、まどかの中の扉はまどかの意志とは無関係に開く。尤も、まどかを何よりも慈しむフェスが、無為に扉を開くことは無かったが。
アスモデウスの力と九天の扉を手にしたフェス。しかし持っている力とは裏腹に、地位は末席。男爵家と家格のつりあう多くの名家にとって、これほどの婿候補は居ない。成人となる前から、多くの地位のある爵位持ちがぜひとも自分の娘を、と言ってくるのが後を立たなかった。だが、フェスはその誘いをすべて丁重に断り、社交界ではほとんど身分らしい身分を持たないまどかを婚約者と公表した。公表された婚約者。それはつまり正室を意味する。
側室にであれば、それほど問題は無かっただろう。元々欲に対して忠実な魔界では、一夫多妻、一妻多夫はさして珍しい話ではない。近親婚さえある世界なのだ。だが身分を持たないまどかを正室にしたとあっては、後に身分の高い淑女を側室にする意志は無いと、宣言しているも同然あった。
そのことにまどかが知ったのは、婚約を公表してしばらくしてからのこと。余程のことが無ければ、公の場に出ることをせず、慎ましやかに暮らすまどかは、社交には疎い。そうさせたのはフェスだったが、まどかがそのことを悔やんだのは初めてのことだった。
もしもっと早くそのことに気付いていれば、側室でいいと、まどかはフェスに言っただろう。フェスはメフィスト家を大事にしている。そのためには身分のある淑女との婚姻は有効な手段であり、またそれを暗に断るというこが社交界でのフェスの立場を悪くさせるものになる。
結婚とは、好いた者同志が行うものだという認識しか持たなかったまどかにとって、両家の合意上での契約と言う結婚はまさに晴天の霹靂だった。しかし、力こそが秩序であり、多妻多夫という形式がなぜとられているのか。それが全てを物語っている。
まどかの目の前で、フェスが踏むステップ。そのたびに揺れる色鮮やかなドレスの裾がふわりと揺れた。まどかの目から見ても、綺麗にワルツを踊る二人は、本当に似合いに見えた。
自分を大切にしてくれているのは、まどかも嬉しいことだ。いつかフェスが正室を娶るかもしれないと思いながら共に暮らすのは、身を切られるより辛いことだろう。だが、そのためにフェスに負担をかけるのは、側室として暮らすのと同じほどに、いやそれ以上にまどかには心苦しいことだった。だがすべては手遅れ。
公表した以上、婚約の破棄など出来るわけも無い。そんなことをすれば、今度は”地位も無い娘が、男爵家の家名に泥を塗った”と、フェスを笑い者にさせてしまう。フェスから破棄を申し出れば話は通るが、そんなことを諾するフェスではない。嬉しい気持ち半分と申し訳ない気持ち半分と、まどかの気持ちは複雑だった。
「戻ったよ。」
いつの間にやら音楽が変わっていた。ダンスの輪からスルリと抜けてきたフェスが、まどかの前へと立つ。まどかの傍に立ち、すばやく手をとるとソッと口付ける。貴族らしい洗練された動作は、まったくの淀みも無い。
「お・・・お帰りなさい。」
一段と緩むフェスの表情に、まどかは思わず下を向いた。他の淑女であれば、もっと鮮やかに微笑むところだろう。実際そうするアンナローゼやエネアの姿を何度も見てきた。いつまでたっても物慣れない。そんなこと一つままならない自分が、まどかは情けなくなる。しかしフェスは、そんなことをまったく気にする様子も無く、まどかの隣に座っていたセドに話しかける。
「悪かったなセド。」
「いいよ。
僕も久しぶりにまどかと話も出来たしね。
兄さんこそお疲れ様。」
「そういや姉貴は。」
「さぁ?
一緒に来たんだけど、どっかでパートナーでも探しに行ってるんじゃない。」
「叔父貴には挨拶したんだろう。」
「もちろん来てすぐに。
主催者だしね。」
「それなら終わる頃には、向こうが探しに来るだろう。
こっちにも会いに来るだろうし。」
人間であれば、まだ14・5歳の見目のセドは、子供らしくニコリと笑った。仲の良い兄弟は、家のことや仕事のことなど気安い言葉で交し合う。二人の話を横で聞きながらも、まどかは小さくため息をついた。
「まどか、疲れた?」
「そんなこと無いよ。」
セドが言葉の少ないまどかを気遣った。まどかはすぐに笑顔を見せたが、その表情にはやはり慣れない社交場での疲れが見え隠れしていた。それに気付かないフェスではない。
「そろそろ退場しよう。
もう充分だろう。」
「大丈夫だよ。
フェスもこういうところ久々でしょ。」
「まぁ久々っていえばそうだけど。」
少し迷っている様子を見せるフェス。
本音を言えば、まどかはフェスの言うとおり疲れてもいた。だがそれ以上に帰りたいと思う気持ちがある。元々社交の場は苦手でもあったし、何よりフェスが自分の知らない人と踊る姿を見るのはやはり居た堪れない。
しかしフェスにとっては、社交も貴族としては必要な仕事ともいえる。自分の我侭でフェスの邪魔をするのは、それ以上にいやだった。
「ならちょっと気分転換に、庭にでも出るか。」
「うん。」
差し出されたフェスの腕を取り、立ち上がる。その言葉だけでも、胸につかえていた何かがスッと落ちる気がした。そして先ほどまで揶揄に笑んでいた視線が、少しだけ鋭さが増したことさえも。現金なものだと、まどかは自分に呆れた。
あの頃は、ただ純粋に彼を好きで居られた。それだけでよかった。そのままなら良かったのかもしれない。それでも、あの頃よりずっと彼が好きなのだ。
「流石に叔父貴の庭となると、家とは規模が違うな。」
感嘆も通り超えてしまったような声で、フェスが言った。
現在フェスはメフィスト家の近くにある別宅で、まどかとメイドが一人居るだけの屋敷で、質素な生活を送っていた。フェスは寄宿学校を卒業後、父と同じく魔界捜査官となった。ただし父とは仕事範囲が違い、魔族が行う人間への違法介入や、またはその逆を取り締まるのが主な仕事となっている。まどかのように、もう二度と魔族によって人が傷つけられないために。しかしまだ働き始めて間もないこともあり、それほど多い収入があるわけではない。それでもフェスは、婚約を決めて譲らなかった。
「庭に、僕たちの家のひとつや二つは入りそうだね。」
「まったくだ。」
夜空に浮かぶ半月が、芝生に柔らかな光を落とす。城からは美しい音色と歓談がもれ聞こえるが、それも今はどこか遠い。親族ということもあり、この城のことも詳しいフェスに先導されてたどり着いたのは、薔薇のアーチを潜った先にある小さな丸いな芝生の庭だった。
「なんか、公園みたいだ。」
確かにそこは小さな子供が作る、秘密の隠れ家のような空気があった。そこには、白いテーブルと一対の椅子があるぐらいなもので、それ以上は何もない。周りを囲う垣からも甘い薔薇の香りがするぐらいだろう。けれどそれ以上を必要ともしていない空気がある。ここに彼らが居れば、それだけで立派な子供部屋になり得たのだろう。
フェスに促され、まどかは椅子へと腰掛け、フェスも今度は向かいの椅子へと腰掛けた。
「小さい頃は、母さんに連れられて来たときは、暇でさ。
セドや姉貴と一緒に遊んだんだよ。
懐かしい。」
「フェス君たち、本当に仲のいい兄弟なんだね。」
「まぁ、家は両親からしてあぁだからな。」
メフィスト家は本当に仲睦まじい。それは出会った頃からずっとであり、そしてこれからも変わることはないのだろうと思う。
同時に、まどかには思い出さずには居られない人が居た。
「会いたいか。
母親に。」
思ったとおり、フェスはそう口にした。何度この問答を繰り返してきただろう。そしてきっとそれは、これからも変わることはないのだろうと知っていた。だからこそ、まどかは同じ言葉を繰り返した。
「会いたい。
けど、もう決めたから・・・。」
そう、もう決めていることだった。もう二度と母親には会わない。たとえどれだけ恋しかろうと、もう会わないと決めたのだ。
フェスに会うため、寄宿学校に入り、まどかは光と闇の抗争に巻き込まれた結果、人間としての体を失ってしまった。それは死と同じことだったが、それを魔界の住人として蘇らせたのは、フェスの意思だった。魂だけの状態となったまどかの為に、とった方法。それは、極寒といわれる第七ヒエラルキーへ向かい、氷付けとなっていたまどかの前世、ヴェアトリエルの体をまどかの器と使うという方法だった。
危険な賭けだった。ヴェアトリエルの話は、伝説に近く、話がどこまで本当かどうかわからない。器がまどかに適合するかもわからない。どんな弊害があるかわからない。何よりまどかが納得しないかもしれない。それさえわかっていながら、フェスは自分の我を通した。
”もう二度と後悔はしたくない。”
その為にまどかに恨まれることになろうとも。それでも、ただ生きていてくれるだけで。もう一度笑ってくれる、ただそれだけで。
それはフェスがまどかに通した、初めての我侭だった。そしてそれは、まどかが記憶を失い、そばに居ることが叶わなくなってから、フェスが何度も心に繰り返してきた願いとまったく変わりないもの。
いつでもフェスは、まどかがただ生きて幸せになることだけを願い続けてきた。
何度でも、何度でも、何時何時までも願っている。
瀕死に陥り、理性さえ効かない本来の魔の姿となったフェスが、初めて語った真実を、どうしてまどかが憎むことができただろう。壊死寸前にまでなった手に触れたとき、まどかにこみ上げてきたのは、愛おしさだった。
どうしてこれほど優しく居られるのか。どうしてこれほど真摯に大事にしてくれるのか。何より、初めてフェスから望んでくれた。その傍に居ることを。
そしてその時、まどかは確かに思った。
彼と共に居られるのならば、後悔などしない。ただ彼が生きて、幸せになってくれることだけを願い生きていけると。
「フェスが居てくれるなら、それだけでいいんだ。」
まどかは心をこめて、何度も口にした言葉を繰り返した。
母親は今頃幸せに暮らしている。まどかという息子の記憶は消え、新しい家族と共に幸せに居る。それで十分なことで。もしそれ以上を望む事を許されるなら。
「フェスが幸せで居てくれるなら、それでいいんだ。」
彼に幸せになってもらいたい。喜んでもらいたい。いや、幸せにしたいんだ。自分の手で。例え不釣合いだと言われても、身分が違うと笑われても、その願いだけは捨てられない。何度でも何度でも何時何時までも。彼にもらった命だから。
「ありがとう。」
フェスは、テーブルに置かれていた手を自身の両手で包む。手袋越しのフェスの体温。それが愛しくて、まどかは顔を寄せると、その指先に小さく唇を落とした。
「ううん、僕の方こそ。
ありがとう。」
いつも大事にしてくれて。いつも守ってくれて。幸せにしてくれて、ありがとう。
それは何度言葉に口にして伝えても、伝えきれないほどの気持ち。
「踊るか。」
「えっ・・!!」
突然思い立ったように言ったフェスが、突如立ち上がった。そのまま、まどかの手を強引に引いて立たせた。宴から流れてくるのは、何度か聞いた覚えがある曲。
「ほら。」
「で、でも僕今日は高い踵の靴履いてるから。」
その一言で、フェスはまどかが何をためらっているかを察した。すると自分の手袋と靴を脱ぎ捨ててまどかの前に膝をついた。そして手をそっと差し出す。
「踊っていただけませか。」
その時見せたフェスの顔は、昔とちっとも変わらない。少しだけ悪戯好きな子供のような目。それが嬉しくて、迷い無くまどかは靴を脱ぎ捨てて、その手を取った。
「もちろん。」
二人でくすくすと笑いながら、箱庭の中央に歩み出る。芝生がチクチクと足の裏をくすぐったが、それが逆に楽しくて仕方が無い。お辞儀をすると、ゆっくりとしたメロディに体を寄せ合う。フェスのリードにまどかは安心して身を任せた。
けして行儀が良いとは言えない。淑女ではないかもしれない。身分も釣り合わないかもしれない。それでもフェスが望んでくれるのならば、それが自身にとって全て。フェスの胸にまどかはそっと頬を寄せた。
月が照らす小さな会場。
そこは、二人が作る安息の箱庭。
END

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